Irini: ギリシャ出身の私は、ある日思いきって海上の絶叫アトラクションに挑戦しました。すると土壇場で、数日間ひそかに視線を追っていた背の高いハンサムな男性が隣に座ることに。激しいターンが続くうちに、この「偶然」の出会いは予想をはるかに超える距離感へと発展していきました。
「お一人で乗りますか?」ジェットスキーのスタッフが、ロープでつながれた巨大なインフレータブルチューブを指差しながら大声で尋ねた。
私がうなずこうと口を開いた瞬間、背後から男性の声が聞こえた。
「もし空きがあるなら、僕も一緒にどうでしょうか」
ああ、もう。あの人が来るなんて。
振り返ると、ここ数日ビーチで思わず目で追ってしまった、背が高く日焼けしたあの男性が立っていた。
それまで言葉を交わしたことはなかった。ただ何度も近くにいるタイミングが重なり、何度か目が合ったことがあった。でもそのたびに私は、急に水平線に強烈な興味でも湧いたかのように目を逸らしていたのだ。
そして今、まさにその人と並んで、小さなチューブの上で波を駆けようとしている。
一体どうなってしまうのだろう?
この日が来るまで、私の夏一番の冒険といえば、まったく別のことだった。
長い間、見知らぬ人の前で服を脱ぐことができずにいた。脱いだ瞬間、周囲の全員が一斉にこちらを見るような気がしてならなかったからだ。
ようやく勇気を出したものの、最初の数分間は最悪だった。
手をどこに置けばいいか、視線をどこに向けられるか、そもそもみんなどうやって平然と歩いているのか、全くわからなかった。まるで頭上に巨大な点滅する矢印があって、「見て!あの人、服を脱いでるよ!」と叫ばれているような気分だったのだ。
ところが、予想外のことが起きた。
誰も大騒ぎなどしなかった。
人々はおしゃべりをし、本を読み、泳ぎ、笑い合っていた。
確かにちらっと見る人はいたし、私もそれに気づいていた。
でも不思議なことに、もう怖くなかった。
むしろ逆だった。
賛否はあるかもしれないけれど、誰かが自分に気づいて魅力的だと感じてくれると知った時、自信が心地よく高まるものなのだと実感した。
まるで心のスイッチが切り替わったかのようだった。
ついさっきまでタオルの陰に隠れたいと思っていたのに、今は落ち着いて水辺へ向かい、肌に感じる太陽と風を楽しめるようになっていた。
そこから先は、海岸の少し離れた場所が私のお気に入りになった。
そしてそこで去年の夏、ジェットスキーに乗った男性が突然現れたのだ。
彼の後ろでは、鮮やかな色の大きなチューブが波に跳ねていた。彼は観光客相手に短時間の高速ライドを提供して稼いでいた。
なぜか乗り手はほとんどいなかった。
私は10分ほど、チューブが波を飛び越える様子を見つめてから、ついに決心した。
「やるしかない」
一人で行くものだと思っていた。
そこに彼が現れたのだ。
心の中で自分に言い聞かせた。
「Irini、冷静に振る舞いなさい」と。
しかし2分後、この状況で冷静になど到底無理だと悟った。
私たちは並んで座り、ハンドルを握った。
ドライバーが振り返る。
「準備はいいですか?」
「もちろん!」私はやけに強気で答えた。
隣の男性が笑った。
「1分後に同じことが言えるかな」
ジェットスキーが加速する。
最初はチューブもスムーズについてきていた。
そして最初の大きな波にぶつかった。
「キャーッ!」
隣の島の人にまで聞こえたんじゃないかと思うくらい叫んだ。
宙に舞い上がり、水面に叩きつけられ、顔に塩水がかかり、私たちはすぐに笑い出した。
私がまだ何とか体面を保とうとしていた時、ドライバーが最初の急ターンを切った。
私は勢いよく連れの方に飛ばされた。
思わず彼にしがみつく。
「ごめんなさい!」
「大丈夫だよ!」
次のターンでは、今度は彼が私の方に飛ばされた。
今度は彼がお詫びを言う番だ。
とても説得力のある謝罪だった。
三度目のターンの後、私たちはついにパーソナルスペースの維持など不可能だと諦めた。
このスピードでは、海に放り出されずにチューブの上に留まることが唯一の使命なのだ。
肩がぶつかり、互いに掴み合い、また離され、たまらず笑い転げた。
おかしいのは、二人ともあくまで無邪気を装っていたことだ。
「落ちないようにしてるだけだから!」衝突のたびに彼が叫ぶ。
「わかる! 私も! 安全のためだからね!」
彼が私を見る。
私が彼を見る。
そして二人で爆笑した。
恥ずかしさと、信じられないほどの幸せが同時に押し寄せた。
昨日まで、20メートル離れた場所で視線を交わすだけの他人同士だったのに。
今は二人の間に隙間などほとんどない。もっとも、それは波とスピードと、人生で最もクレイジーなビーチアトラクションのせいなのだが。
ドライバーも状況を完全に把握していたと思う。
というのも、そこからさらに鋭いターンを入れ始めたからだ。
「わざとやってる!」私が叫ぶ。
「間違いなく!」
また波が来る。
チューブが宙に浮く。
再び、想定外の相棒にしがみついた。
今回はもう謝る気にもなれなかった。
ようやく岸に戻った時、足が震えていた。
髪はびしょ濡れ、頬は火照り、笑いすぎて体が痛いくらいだった。
数秒間、ただ並んで立ち尽くし、息を整えていた。
すると突然、気まずさが訪れた。
水上ではすべてスピードのせいにできた。
でも今は、数日間遠目に見つめていた当の本人が目の前にいる。
沈黙を破ったのは彼の方だった。
「実は、マルコスといいます」
私は笑った。
「Iriniです。自己紹介のタイミングとして最高ですね」
「普通の段階をいくつかスキップした気がする」
それを聞いて、私は真っ赤になった。
その夜、私たちはプロムナード付近でコーヒーを飲んだ。
翌日もまた会った。
その後も何度も。
そして結局、ジェットスキーの助けを借りずとも、本当の意味でお互いを知ることになったのだ。
でもこのライドのもっともおかしい余波は、数日後に訪れた。
あのドライバーに再会したのだ。
彼は私たち二人を見つけ、親指を立てて叫んだ。
「うまくいったみたいだね!」
私は笑い死にするかと思った。
それ以来、恥ずかしさに逃げ出さない自分のことを、前よりも好きになっている。
自分の体も、注目を浴びることも、海も、気まずい状況さえも、境界線を他人に委ねることなく楽しめるのだと気づいたからだ。
だから今でもマルコスがジェットスキーに乗ろうと言うたびに、私はこう聞く。
「チューブ付きで?」
彼は微笑む。
「当然だよ」
だから来年の夏も、絶対にここへ戻ってくるつもりだ。
そしてもし、海を愛し、ちょっとした狂騒を楽しみ、自分自身を笑える大人で気の合う仲間がいるなら、きっと話が尽きることはないだろう。
私がうなずこうと口を開いた瞬間、背後から男性の声が聞こえた。
「もし空きがあるなら、僕も一緒にどうでしょうか」
ああ、もう。あの人が来るなんて。
振り返ると、ここ数日ビーチで思わず目で追ってしまった、背が高く日焼けしたあの男性が立っていた。
それまで言葉を交わしたことはなかった。ただ何度も近くにいるタイミングが重なり、何度か目が合ったことがあった。でもそのたびに私は、急に水平線に強烈な興味でも湧いたかのように目を逸らしていたのだ。
そして今、まさにその人と並んで、小さなチューブの上で波を駆けようとしている。
一体どうなってしまうのだろう?
この日が来るまで、私の夏一番の冒険といえば、まったく別のことだった。
長い間、見知らぬ人の前で服を脱ぐことができずにいた。脱いだ瞬間、周囲の全員が一斉にこちらを見るような気がしてならなかったからだ。
ようやく勇気を出したものの、最初の数分間は最悪だった。
手をどこに置けばいいか、視線をどこに向けられるか、そもそもみんなどうやって平然と歩いているのか、全くわからなかった。まるで頭上に巨大な点滅する矢印があって、「見て!あの人、服を脱いでるよ!」と叫ばれているような気分だったのだ。
ところが、予想外のことが起きた。
誰も大騒ぎなどしなかった。
人々はおしゃべりをし、本を読み、泳ぎ、笑い合っていた。
確かにちらっと見る人はいたし、私もそれに気づいていた。
でも不思議なことに、もう怖くなかった。
むしろ逆だった。
賛否はあるかもしれないけれど、誰かが自分に気づいて魅力的だと感じてくれると知った時、自信が心地よく高まるものなのだと実感した。
まるで心のスイッチが切り替わったかのようだった。
ついさっきまでタオルの陰に隠れたいと思っていたのに、今は落ち着いて水辺へ向かい、肌に感じる太陽と風を楽しめるようになっていた。
そこから先は、海岸の少し離れた場所が私のお気に入りになった。
そしてそこで去年の夏、ジェットスキーに乗った男性が突然現れたのだ。
彼の後ろでは、鮮やかな色の大きなチューブが波に跳ねていた。彼は観光客相手に短時間の高速ライドを提供して稼いでいた。
なぜか乗り手はほとんどいなかった。
私は10分ほど、チューブが波を飛び越える様子を見つめてから、ついに決心した。
「やるしかない」
一人で行くものだと思っていた。
そこに彼が現れたのだ。
心の中で自分に言い聞かせた。
「Irini、冷静に振る舞いなさい」と。
しかし2分後、この状況で冷静になど到底無理だと悟った。
私たちは並んで座り、ハンドルを握った。
ドライバーが振り返る。
「準備はいいですか?」
「もちろん!」私はやけに強気で答えた。
隣の男性が笑った。
「1分後に同じことが言えるかな」
ジェットスキーが加速する。
最初はチューブもスムーズについてきていた。
そして最初の大きな波にぶつかった。
「キャーッ!」
隣の島の人にまで聞こえたんじゃないかと思うくらい叫んだ。
宙に舞い上がり、水面に叩きつけられ、顔に塩水がかかり、私たちはすぐに笑い出した。
私がまだ何とか体面を保とうとしていた時、ドライバーが最初の急ターンを切った。
私は勢いよく連れの方に飛ばされた。
思わず彼にしがみつく。
「ごめんなさい!」
「大丈夫だよ!」
次のターンでは、今度は彼が私の方に飛ばされた。
今度は彼がお詫びを言う番だ。
とても説得力のある謝罪だった。
三度目のターンの後、私たちはついにパーソナルスペースの維持など不可能だと諦めた。
このスピードでは、海に放り出されずにチューブの上に留まることが唯一の使命なのだ。
肩がぶつかり、互いに掴み合い、また離され、たまらず笑い転げた。
おかしいのは、二人ともあくまで無邪気を装っていたことだ。
「落ちないようにしてるだけだから!」衝突のたびに彼が叫ぶ。
「わかる! 私も! 安全のためだからね!」
彼が私を見る。
私が彼を見る。
そして二人で爆笑した。
恥ずかしさと、信じられないほどの幸せが同時に押し寄せた。
昨日まで、20メートル離れた場所で視線を交わすだけの他人同士だったのに。
今は二人の間に隙間などほとんどない。もっとも、それは波とスピードと、人生で最もクレイジーなビーチアトラクションのせいなのだが。
ドライバーも状況を完全に把握していたと思う。
というのも、そこからさらに鋭いターンを入れ始めたからだ。
「わざとやってる!」私が叫ぶ。
「間違いなく!」
また波が来る。
チューブが宙に浮く。
再び、想定外の相棒にしがみついた。
今回はもう謝る気にもなれなかった。
ようやく岸に戻った時、足が震えていた。
髪はびしょ濡れ、頬は火照り、笑いすぎて体が痛いくらいだった。
数秒間、ただ並んで立ち尽くし、息を整えていた。
すると突然、気まずさが訪れた。
水上ではすべてスピードのせいにできた。
でも今は、数日間遠目に見つめていた当の本人が目の前にいる。
沈黙を破ったのは彼の方だった。
「実は、マルコスといいます」
私は笑った。
「Iriniです。自己紹介のタイミングとして最高ですね」
「普通の段階をいくつかスキップした気がする」
それを聞いて、私は真っ赤になった。
その夜、私たちはプロムナード付近でコーヒーを飲んだ。
翌日もまた会った。
その後も何度も。
そして結局、ジェットスキーの助けを借りずとも、本当の意味でお互いを知ることになったのだ。
でもこのライドのもっともおかしい余波は、数日後に訪れた。
あのドライバーに再会したのだ。
彼は私たち二人を見つけ、親指を立てて叫んだ。
「うまくいったみたいだね!」
私は笑い死にするかと思った。
それ以来、恥ずかしさに逃げ出さない自分のことを、前よりも好きになっている。
自分の体も、注目を浴びることも、海も、気まずい状況さえも、境界線を他人に委ねることなく楽しめるのだと気づいたからだ。
だから今でもマルコスがジェットスキーに乗ろうと言うたびに、私はこう聞く。
「チューブ付きで?」
彼は微笑む。
「当然だよ」
だから来年の夏も、絶対にここへ戻ってくるつもりだ。
そしてもし、海を愛し、ちょっとした狂騒を楽しみ、自分自身を笑える大人で気の合う仲間がいるなら、きっと話が尽きることはないだろう。